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腸の疲れは血流にも影響?


腸の疲れは血流にも影響?

「お腹が何だかすっきりしない」、「最近、何だかモヤモヤする」


このようなちょっとした不快な症状で悩んでいませんか?

このような不調は、生活習慣の乱れで起こる"腸の不調"が原因かもしれません。


ストレス社会や食の欧米化などが原因で腸の働きが鈍くなると、自律神経の働きが弱まり、血流が悪くなります。腸の不調が全身の不調のきっかけになることもわかってきています。


腸の疲れの原因とその改善方法をお伝えします。


目次


あなたの不調は腸の疲れから

1. 便秘や下痢がある

2. おならが多い

3. お腹の張りを感じることがある

4. 腹痛が時折ある

5. お腹がゴロゴロする

6. 体重の急増減がある

7. 便が硬かったり、柔らかかったりする

8. ゲップや胸焼けがある

9. 肌荒れ等の肌トラブルに悩んでいる


まずは、あなたの"腸の疲労度"を確認しましょう。

どのくらい該当しましたか?普段の生活の中で、身体の中の状態は直接確認することはできませんので、多くの項目に該当してしまった方は要注意。腸の疲れが生じているかもしれません。では、腸の疲労はなぜ引き起こされるのでしょうか?


 

腸の不調の原因
腸内細菌

腸が疲れているとは具体的にはどのような状態なのでしょう?


それは、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れていることです。

私たちの腸の中には1,000種類約100兆個の腸内細菌が棲んでいると言われています。


腸内細菌は大きく分けると、「善玉菌」・「悪玉菌」・「日和見菌」の3種類あります。

理想的な割合は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7と言われていますが、これらの割合は生活習慣によって常に変化をしています。例えば、善玉菌の数を維持するための生活習慣としては、食物繊維が豊富な食事を摂ったり運動をしたりといったことがあげられますが、暴飲暴食やストレスが重なると悪玉菌が多くなってきます。特に、善玉菌は短鎖脂肪酸という脂肪酸を出していますが、この短鎖脂肪酸は、大腸のバリア機能を高めたり、腸の蠕動運動を促したりと腸に対して良い効果があります。


しかし、善玉菌の割合が減ることによりこの短鎖脂肪酸が出にくくなり、下痢や便秘等の排便トラブルや免疫力の低下につながります。

また、悪玉菌が増えるということは、身体にとっての有害物質を出すことになりますので、肌荒れやアレルギーなど全身の不調にも繋がります。


 

腸の不調が全身に影響を?

お腹の調子

読者の方の中には、「腸脳相関」という言葉を一度は聞いたことがある方も多いかもしれません。


腸と脳は迷走神経という神経を介して情報のやりとりをしています。例えば、強いストレスや不安を感じると、便秘や下痢が起きることはこの腸と脳が繋がっている代表的な一例です。

また、不規則な生活習慣によって腸内環境が乱れる(腸の疲労)とメンタル面にも影響を及ぼします。私たちの感情を左右するホルモンの中には、腸で作られているものがあります。例えば、幸せホルモンであるセロトニンは、約90%が腸に存在していています。うつ病の治療にこのセロトニンの分泌を促す薬が使われますが、脳内に存在するセロトニンは2%程度と言われています。加えて、ホルモンの主原料はたんぱく質です。このたんぱく質をホルモンに変えているのも腸内細菌が作り出す各種ビタミン類なのです。


まさに、ココロを整えるためには「腸」を整えることが重要であることがわかると思います。


ちなみに、腸のことを英語で「gut(ガット)」といいます。「ガッツポース」などガッツという意味合いは「腸、はらわた」から派生して、「根性」や「忍耐」という意味合いで使われるようになったと言われています。ココロの健康には腸が重要なことは語源からもわかりますね。


 

腸の不調の改善方法

ヨーグルトを食べる女性

ここまでご紹介してきたように、腸の状態を良くすることが体調維持にはとても重要です。腸を整えるために必要なことを3つお伝えします。


1.食べる時間について

腸にとって何を食べるかも重要ですが、いつ食べるのかもとても重要です。つい忙しくて朝食を抜いてしまったり、2食まとめてたくさん食べてしまったりはしていませんか?

食事を摂ることは腸へ刺激を入れることです。私たちの身体は、概日リズムという体内時計が働いています。特に、朝食を摂ることは睡眠中に休んでいた腸が動き出し、副交感神経の働きがスムーズになります。副交感神経が働くことにより血流が良くなりますので、身体も温まります。


いわゆる1日のスイッチを朝食でいれるイメージです。


また、朝を摂らずに昼食で補うのも腸や自律神経の働きの観点からみるとNGです。1日3食摂ることが腸のリズムを作り出す上ではとても重要です。そして食事と食事の間は5〜6時間以上空けることがベストなのです。


2.食べるものについて

善玉菌が元気よく生息できる環境づくりが重要です。

・発酵食品(ヨーグルト・納豆など)

善玉菌を刺激し腸の蠕動運動を刺激します。

・水溶性食物繊維を含む食べ物(納豆・里芋・じゃがいもなど)

便を柔らかくする働きがあるので、排便がスムーズに。また、善玉菌のエサにも。

・不溶性食物繊維を含む食べ物(こんにゃく、ごぼうなど)

水分で膨らみ腸を刺激します。

・オリゴ糖(バナナ・タマネギなど)

乳酸菌のエサとなり、善玉菌を増やす効果があります。


3.ストレスを溜めない

ストレスを感じることで腸内環境も乱れていきます。

自分なりのストレス解消方法を持つことが重要です。また、私たちの生活の中でストレスの原因の多くは対人関係です。他人の考えは変えられませんので、「人は人、自分は自分」という考えを持つことがとても大切です。些細なことを気にしてしまう方はそのことを「気にしない」のではなく、そのことから「距離をおく」という考え方にシフトすることが重要です。


 


まとめ


講師


生命の発生学的にみても、受精卵から「腸」がまずは発生してから、そこから「肝臓」や「肺」、そして「脳」が発生しています。


どの生き物にとっても「腸」は存在しており、とても重要な存在です。


近年の研究の進歩によって、腸内細菌と様々な病気や不調の関係性がわかってきています。健康維持や未病改善の第一歩は腸の環境から。腸の環境が整うと血流が良くなり、様々な不調を回避することができます。


 

監修者:森下竜一

昭和62年大阪大学医学部卒業。米国スタンフォード大学循環器科研究員・客員講師、大阪大学助教授を経て、平成15年より大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄付講座教授(現職)。内閣府 健康・医療戦略室戦略参与、日本遺伝子細胞治療学会理事長、日本脳血管認知症学会理事長、日本抗加齢医学会副理事長、2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会総合プロデューサーなどを務める。新著に『新型コロナワクチンを打つ前に読む本』など。



ライター:鍼灸師 黒井俊哉

大学院にて慢性頭痛の研究を学んだあと、一般企業に就職し、通所介護事業の新規立ち上げに従事。その後、「認知症の超早期発見と重症化予防プロジェクト」に従事し、認知機能の低下の早期発見について研究を行う。その成果を論文として執筆し、令和2年度日本早期認知症学会論文賞受賞。現在は、高齢者を中心に、介護予防に関する講演活動を実施している。


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