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【専門家が解説】その体調不良、原因は血流?(前編)



何となくからだの調子が良くない、そのようなことを経験したことはありませんか?


頭が重い、顔色が悪い、眼が疲れやすい、などなど。このような不調があるという方は、もしかしたら、全身の血流が滞っている現れかもしれません。私たちの細胞一つひとつに栄養を届ける、そして細胞からの老廃物を腎臓に届けるのは、血流です。その血流が悪いと、細胞の活動も悪くなります。このことが、今悩んでいる体調不良の原因かもしれません。


その体調不良を改善したければ、まずはご自身の血流を見直す必要があります。


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血流ってなに?

テレビや雑誌などで、良く「血流」という言葉を聞きますよね。でも、そもそも「血流」とは何でしょうか?


血流とは「血管」内の「血液」の流れのことを言います


私たちは、およそ37兆個の細胞の集まりです。一つひとつの細胞が活発に活動している状態がいわゆる”健康”な状態です。そして、その一つひとつの細胞に栄養と酸素を届けるのが、「血液」です。また、忘れてはいけないのが、細胞がエネルギーを産みだしていく上で利用された老廃物を腎臓や肝臓に届けるのも、「血液」です。


それでは、ここで、血液の働きをみてみましょう。

血液の働き

①運搬

  • 酸素や栄養素、ホルモン、水分などを全身の細胞に運ぶ

  • 不要になった二酸化炭素や老廃物を回収する

②恒常性の維持

  • 体内で産生した熱を全身に運んだり、皮膚の放熱を調整することで、体温を一定に保ち、体内環境を維持する

  • 特定の臓器にホルモンを運んで、生体活動を維持する

③防御

  • 細菌やウイルスの体内への侵入を見つけたら、攻撃して体を守る

  • 出血したとき、血小板が血管の傷口を塞いで出血を止める


血液は、人が生きていく上で、とても重要な役割をしています。

その血液は、「血管」を通って、絶えず、全身を流れています。血流を考える上で「血管」も大変重要です。


それでは、血管の構造も見ていきましょう。


①外膜

②中膜

③内膜


このうち、③の内膜に存在している「血管内皮細胞」は、私たちの全身をめぐる血管において最も内側にある細胞で、血管の健康状態を維持するために非常に重要な役割をしています。近年の研究において、血管内皮細胞は、様々な化学物質を分泌し、血管の硬さや柔らかさを調整していることがわかってきました。


今までご紹介してきたように、血流を良くするには、「血液」と「血管」の状態を良くすることがとても重要で、片方の状態が悪くなると、身体に不調をきたしてしまいます。


血流が悪くなるとは?

それでは、血流が悪くなるということは具体的にはどういうことでしょうか?


今までみてきたように、血流が悪くなると、細胞のエネルギー源である栄養素や酸素がからだの隅々に行き渡らず、また老廃物も溜まってしまいます。そうすると、肩こりや、冷え症、眼が疲れやすいなど、からだの至るところに不調が出てきてしまいます。


もう少しわかりやすく解説していきます。


遠く離れた細胞からの要請で、エネルギー(酸素)を届けるために、トラックがやってきました。このトラックは「赤血球」という名前で、酸素の運搬を専門としています。


このトラックは、血管という道路を通って、各細胞にエネルギーを届けています。

血流が良い状態とは、このトラックが何台も用意されており、トラックを動かすためのガソリンもしっかりと積んでおり、細胞が求めれば、いつでも酸素を届けることができます。


また、トラックの通り道である道路(血管)もトラックの進行を妨げるような途中の障害物もなく、また、トラックが多くなってきたら、状況に応じて道幅を広げることができる状態です。 その結果、細胞へ酸素をしっかりと届けることができ、細胞は役割に応じた活動を行うことができます。


一方、血流が悪い状態とはどういったことでしょうか?


まず、酸素を運ぶためのトラックが不足している状態があります。

遠く離れた細胞から要請があっても、運搬に必要なトラックが不足しており酸素を運ぶことができません。

また、道路の途中には、凸凹した障害物が多くあったり、道路幅が極端に狭い場所も…。


その結果、細胞に酸素を届けるのに時間がかかってしまったり、最悪の場合、運搬を断念して、細胞に酸素を運びきれず戻ってしまいます。


細胞は必要な酸素を得られず、自身に課された役割を果たすことができず、結果、身体に色々な不調をきたしてしまいます。これが、血流が悪くなっている状態です。




 

監修者:医師 野口なつ美

日本医師会認定産業医、日本抗加齢学会評議員、美容皮膚科学会会員。戦争を無くすために外交官になろうと慶應義塾大学総合政策学部に入学。争いを生んでしまう心に関心を持ち、卒業後は東京医科歯科大学医学部へ。東京医科歯科大学にて研修、皮膚科勤務を経て、都内保健所勤務、美容皮膚科、栄養療法、産業医経験も含め、幅広く予防医学、美容医療に携わり、根本的な心身の健康と健全な美を追及している。



ライター:鍼灸師 黒井俊哉

大学院にて慢性頭痛の研究を学んだあと、一般企業に就職し、通所介護事業の新規立ち上げに従事。その後、「認知症の超早期発見と重症化予防プロジェクト」に従事し、認知機能の低下の早期発見について研究を行う。その成果を論文として執筆し、令和2年度日本早期認知症学会論文賞受賞。現在は、高齢者を中心に、介護予防に関する講演活動を実施している。


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