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肌トラブルが治らない・・・。本当の原因は、血流?



スキンケアを色々と試すけど、一向に肌の状態が良くならない…。そんなスキンケアを一度見直してみませんか?漢方では、肌荒れや乾燥肌などの皮膚トラブルの多くは、身体の中から老廃物や余計な栄養を捨てる反応と考えられています。

また、皮膚に必要な水分や栄養、酸素を届けるには、栄養たっぷりな血液と、その通り道である血管を維持することがとても重要です。皮膚からの外側からのスキンケアと共に、からだの内側からのケアを今日から始めませんか?



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肌トラブルの原因とは?

肌トラブル対策をする上でまず重要なのが「肌」を知ること。肌、すなわち皮膚はどんな構造をしていて、どのような機能をしているか知っていますか?




皮膚は、からだ全体を包む”人体最大の臓器”ともいわれており、表面から「表皮」、「真皮」、「皮下組織」という三層構造になっています。


表皮は、平均約0.2mmと薄い膜で異物の侵入を防ぎ、皮膚内の血管や神経を守っています。表皮は層構造になっていますが、全て角化細胞(ケラチノサイト)で構成され、その角化細胞は表皮の一番下の基底層から作られています。「ターンオーバー」という言葉を一度は聞いたことあるかもしれませんが、基底層で作られた角化細胞は約14日かけて育ちながら、新しくできる角化細胞によって上へ上へと押し出されていきます。やがて角層まで到達すると、垢となってはがれ落ちます。これがターンオーバーで、その期間は約28日と言われています。


次に、表皮の下にある真皮は皮膚の本体部分で約2mmの厚さがあり、その約70%がコラーゲンで占められています。

ここが、肌のハリや弾力を司る土台になります。また、真皮には血管やリンパ管、汗腺などの器官があり、この血液循環がよいことが、健康で美しい皮膚をつくりあげる上で欠かせません。なぜなら、血液によって皮膚に必要な栄養が十分に運ばれ、それが表皮の新陳代謝(ターンオーバー)を促して皮膚の表面を滑らかにし、真皮の活性も高め、皮膚のハリや弾力を高めてくれるからです。


最後に、真皮の下にある皮下組織は、その大部分が皮下脂肪で占められており、外部からの刺激を和らげるクッションの役割などを果たしています。

肌荒れ等、肌の表面に出てくるトラブルの多くは、ターンオーバーの乱れが原因です。主に、紫外線や物理的な刺激(かゆくて掻いてしまうなど)が原因ですが、皮膚の血液循環が悪くなってもターンオーバーは乱れてしまいます。

 

ターンオーバーが乱れるとどんな症状がでる?

ターンオーバーが乱れると、以下のトラブルが起きます。


①キメが乱れる

正常な肌の入れ替わりがうまく出来ずに、古い角質がたまってしまい、肌表面の凸凹が目立ちやすくなり、いわゆる”キメ”が乱れた状態になります。

キメが乱れると、くすみやざらつきの原因となり、何となく疲れたような印象を与えてしまいます。


②シミなどが起きやすくなる

シミとは、皮膚にメラニンが蓄積されることによって生じる、淡褐色や茶褐色の色素班のことをいいます。主に紫外線が原因で生じますが、実は表皮の底にある基底細胞を紫外線から守るという大切な役目もあります。ですが、そのメラニンの生成される量が多すぎたり、ターンオーバーが乱れて角質とともに排出できなくなると、シミとして皮膚に残ってしまいます。


③ニキビの原因

ニキビの原因には遺伝的要素や、ホルモンバランスの崩れなどいくつか原因があります。ターンオーバーが乱れると、毛穴が詰まって皮脂が貯留し、そこにアクネ菌などの皮膚の常在菌が増殖し炎症が起こり、ニキビができやすくなってしまいます。

 

肌荒れ(ターンオーバーの乱れ)の対策とは?

<からだの外側からのケア>

皮膚の構造でも紹介したように、化粧品でケアができるのは基本的には表皮の角層までです。この角層は平均0.02mmの厚さでとても薄い層ですが、バリア機能としてとても重要な役割を担っており、健やかな肌を作るためには、角層を正常な状態に保つことが必要不可欠です。特に、皮膚の老化の原因の80%は紫外線と言われています。この刺激を最小にするために、身体の外側からのケア(スキンケア)はとても重要です。


スキンケアの土台になるのが、以下の3つです。


①洗顔(洗いすぎない・摩擦をつくらない)

肌への負担を避けるため、必要最低限の汚れをとることが大切です。


②保湿(肌質に合わせた適切な保湿)

洗顔による肌への摩擦によって保湿成分が失われます。洗顔で奪われた皮脂を補います。


③UVケア(季節や天気に関わらず毎日塗る)

紫外線は肌にとっては天敵です。曇りの日でも冬でも地上に降り注いでいます。季節問わずに毎日の紫外線ケアが大切です。



<からだの内側からのケア>

”自分の肌は自分で守る”。キレイな肌を保つためには、真皮まで届いている血流を良くして、生まれてくる角化細胞にいかに良い酸素と栄養を与えて、老廃物を回収するかがとても重要です。


ターンオーバーが良い皮膚環境を作るためには皮膚の血液循環が良いことが必須で、それには、①バランスのとれた食事、②適度な運動、③質の高い睡眠、がとても重要です。


①バランスのとれた食事

健康に良い食事の中で、特に皮膚の成分、皮膚の働きに必要な成分を含んでいると良いでしょう。特にたんぱく質の中でも動物性のタンパク質は、順調な皮膚のターンオーバーに必要で、不足すると皮膚の表面が乾燥してきたり、ハリや弾力も失われてしまいます。また、日本人の食事で不足しがちなカルシウムは、不足すると神経系が不安定になり興奮しやすくなり、皮膚も過敏になり抵抗力が弱まってしまいます。


②適度な運動

運動を行い、筋力をつけることは、代謝をあげたり、血流を促進する効果があります。血流を促進することによって、角化細胞に栄養と酸素を届けることができます。また、運動を行うことによって、発汗が促されます。毛穴に詰まった余分な皮脂を排出したり、肌の水分量が増えることが期待できます。


③質の高い睡眠

睡眠中に放出される成長ホルモンは、皮膚の細胞の修復を促す効果があります。このホルモンは睡眠依存の特殊なホルモンのため、分泌量は圧倒的に入眠初期のノンレム睡眠の質に比例しており、起きている間は分泌されません。また、何時に寝てもよいのですが、入眠時に深い睡眠が出現しないと分泌されないことから、眠り始めの質をいかに高めるかが重要なのです。たとえば、毎日同じ時間に寝るようにすれば、体温などの生体リズムも整い、入眠時に深い睡眠が得られやすくなりますし、寝る90分前の入浴で深部体温をいったんあげておくことも効果があります。





まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回紹介をしたターンオーバーには、約28日の周期があり、加齢とともにその日数は伸びて、肌トラブルも起きやすくなると言われています。

さらに、生活習慣の乱れ、すなわち血流が悪くなることでもターンオーバーは乱れますので、若いからといって油断はできません。


美しい肌づくりのために、今日から「からだの内側からのケア」を普段の生活に取り入れましょう。


 

監修者:医師 野口なつ美

日本医師会認定産業医、日本抗加齢学会評議員、美容皮膚科学会会員。戦争を無くすために外交官になろうと慶應義塾大学総合政策学部に入学。争いを生んでしまう心に関心を持ち、卒業後は東京医科歯科大学医学部へ。東京医科歯科大学にて研修、皮膚科勤務を経て、都内保健所勤務、美容皮膚科、栄養療法、産業医経験も含め、幅広く予防医学、美容医療に携わり、根本的な心身の健康と健全な美を追及している。



ライター:鍼灸師 黒井俊哉

大学院にて慢性頭痛の研究を学んだあと、一般企業に就職し、通所介護事業の新規立ち上げに従事。その後、「認知症の超早期発見と重症化予防プロジェクト」に従事し、認知機能の低下の早期発見について研究を行う。その成果を論文として執筆し、令和2年度日本早期認知症学会論文賞受賞。現在は、高齢者を中心に、介護予防に関する講演活動を実施している。


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