春は日々の寒暖差や気圧変動が大きい季節です。
春になると、「やる気がでない」、「頭痛がする」、「日中眠くなる」などの身体の不調を訴える方が多くなります。これは、寒暖差や気圧変動に身体が追いついていない、すなわち身体のライフラインである「自律神経」が乱れているサインです。自律神経が乱れると、血流も不安定になります。新生活等のストレスも重なり、この不調が長引くこともあります。
季節変動に対する日常生活の対策に加え、運動、食事などの血流を良くする習慣を行うことで春の不調を防ぎ、素晴らしい季節を楽しみましょう。
目次
・まとめ
春の不調とは?
新生活の春。
心機一転、気持ちを新たに頑張ろうと思っても、身体がついてこない。
春は、「眠気を感じることが多い」、「身体がだるい」、「イライラする」など心身の不調を感じる方が多いです。これらの不調は
①日々の寒暖差
②気圧の変化
③環境の変化
によって、自律神経が乱れることで引き起こされやすいと言われています。春は1年を通じて、日々の寒暖差が多い季節です。特に、暖かい日が続いたと思えば、急に真冬並みの気温に戻ることもしばしば。
また、朝は寒く、日中は半袖でも十分な気候の時もあれば、急に「春の嵐」のような激しい風雨に襲われる日もあります。さらに、新生活や新年度による環境の変化で、知らず知らずに身体にストレスがかかり、自律神経のバランスが崩れてしまうことも心身の不調をきたしやすい原因になっています。
春の不調の原因とは?
気候や環境が変わっていくと自律神経のバランスが崩れやすくなります。
それは具体的にはどういう状態のことなのでしょうか?
私たちの身体には、交感神経と副交感神経という2種類の自律神経があり、その両方のバランスが保たれていることが、いわゆる自律神経のバランスがいい状態といえます。しかし、春の気候や環境の変化自体が身体にとってはストレスになり、交感神経を刺激します。その状態が続くと、いわゆる交感神経が優位な状態(活発な状態)になり、自律神経のバランスが崩れます。
また、交感神経が活発な状態が続くと身体中の血管が収縮します。血管が収縮することにより血圧が高くなることと同時に、各細胞への血流が滞ることによって身体の不調をきたします。
さらに、春は花粉症の季節です。花粉症は、花粉から身体を守る防御反応が過剰になっていることによって起きる症状です。防御反応が過剰になることにより「身体が疲れやすい」といった症状と共に、ストレスに対して過敏に反応してしまうため、身体の不調をきたしやすくなります。
春の不調の予防と対策
春の不調を予防するためには、自律神経のバランスを整えることが大切。特に、高まりすぎた交感神経を落ち着かせるためには、副交感神経のスイッチを入れることが必要です。副交感神経のスイッチを入れることにより、身体中の血管が広がり血流が良くなります。
☆副交換神経のスイッチを高めるポイント
①食事は1日3回。欠食なくしっかりと食べる。:
食事という行為は腸への刺激を与えることにつながり、その刺激によって腸が活動します。腸の動きと「副交感神経」は連動していますので、食事は副交感神経のスイッチを入れる鍵になるのです。1日3食しっかりと食べましょう。
②起床時にコップ1杯の水を飲む:
睡眠中は寝汗等で体内の水分量が減ることにより、血流も滞りやすいです。起床時に水分をとることで血流が良くなると同時に、腸などの消化管にも刺激を与え、副交感神経が働きやすくなります。
③適度な運動を行う:
ランニングの時に一緒に走る人と会話ができる程度の強度の有酸素運動を行うことで副交感神経を刺激できます。また、呼吸を意識したストレッチも副交感神経を刺激し、血流を促進します。
④お風呂はしっかりと湯船に浸かる:
40度程度のぬるま湯に浸かることにより、副交感神経が働きやすくなります。
⑤睡眠をしっかりととる:
睡眠中は副交感神経が働き、血圧や心拍数などを下げ、身体を休息モードにします。睡眠の質が低下すると交感神経が活発になりやすいと言われていますので、入眠前の90分前までには湯船に浸かり、またそれ以降はスマホなどを見ない生活環境で良質な睡眠を確保しましょう。
これらに加えて、以下の対策も必要です。
⑥衣服を工夫して温度調整を行う:
環境変化自体が身体にとってストレスになります。当日の気温変化に合わせた衣服を工夫することで直接的な身体への負担を軽減しましょう。
⑦花粉症対策をしっかりと行う:
花粉症は鼻水やくしゃみだけでなく、身体全体の不調にもつながります。メガネやマスク等で身体に花粉を入れないことで花粉症症状の軽減に努めましょう。また、腸内環境を整えることによって、身体の免疫機能が整えられます。
まとめ
春の季節に起きる身体の不調の多くは、自律神経のバランスの崩れが原因です。春は気温や気圧の変化と共に新生活による心身のストレスにより、交感神経が過剰に働くことで不調を起こしやすくなります。過剰に働いてしまった交換神経を抑えるには、腸の働きと血流を良くすることで副交感神経のスイッチを入れることです。
ストレスを感じ始めたら、血流を良くすることを意識しましょう。
監修者:医師 野口なつ美
日本医師会認定産業医、日本抗加齢学会評議員、美容皮膚科学会会員。戦争を無くすために外交官になろうと慶應義塾大学総合政策学部に入学。争いを生んでしまう心に関心を持ち、卒業後は東京医科歯科大学医学部へ。東京医科歯科大学にて研修、皮膚科勤務を経て、都内保健所勤務、美容皮膚科、栄養療法、産業医経験も含め、幅広く予防医学、美容医療に携わり、根本的な心身の健康と健全な美を追及している。
ライター:鍼灸師 黒井俊哉
大学院にて慢性頭痛の研究を学んだあと、一般企業に就職し、通所介護事業の新規立ち上げに従事。その後、「認知症の超早期発見と重症化予防プロジェクト」に従事し、認知機能の低下の早期発見について研究を行う。その成果を論文として執筆し、令和2年度日本早期認知症学会論文賞受賞。現在は、高齢者を中心に、介護予防に関する講演活動を実施している。
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